マイクロニクス研究室
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技研便り





このコーナーでは、技術研究所をはじめとしますマイコムの技術現場の最新情報を紹介します。

第3回目はマイクロニクス研究室の紹介と制御用LSIの歴史を紹介します。

研究室の紹介

マイクロニクス研究室

 マイクロニクス研究室では、制御用LSIの設計を行っています。自社製品に搭載する目的ですが、一部製品は市場に供給しています。マイコムではLSI設計を、回路モジュール化の一手段と位置づけています。
 マイコムのLSIは、その搭載装置となる制御機器製品と同様に、コントローラ系とドライバ系に大別できます。
 LSIは、その時々の製品設計コンセプトを反映しており、初期のロジック回路(順序回路・組み合わせ回路)で構成した比較的小規模なものから、近年の知能技術・知識制御思想を反映しメモリや周辺デバイスとのI/Fを考慮したものへと、変遷してきました。

 下記にコントローラ系とドライバ系からなる系列毎に年代を追って、マイコムLSIを紹介していきます。

制御用LSIの歴史

コントローラ系LSI
コントローラ系LSI 歴史
 コントローラ系LSIは、モーション・パルス・ジェネレータLSIとして始まりました。1988年のMPG1010です。それは、パルス列モータを駆動させるためのパルス生成を目的として設計したLSIで、MPGシリ−ズとして現在に至っています。1999年にはMPGシリーズを引き継ぎながら、高速演算処理による高品位な制御機能を備えたデジタル・モーション・プロセッサ「DMPシリーズ」を生み出しました。

 左図は、コントローラ系LSI製品化の流れを示します。
MPGシリーズ
 MPG(Mycom Pulse Generatorマイコム・パルスジェネレータ)シリーズは、1988年のMPG1010から始まります。
MPG1010
 MPG1010は、現在から見るときわめて小規模な回路構成ですが、加減速を直線(台形加減速)に行い、減速停止入力を備えたものです。現在でも出荷されています。
MPG1020
 このMPG1010をベースに、端子形状をQFPにしたものを、MPG1020として設計しました。現在も量産されているロングセラーです。
MPG2010/2011
 MPG2010は、台形加減速パルスジェネレータLSIの2軸仕様です。搭載するコントラーラ基板の省サイズに貢献しました。2001年に原点サーチ機能と出力パルス数積算カウンタを追加し、MPG2011としてバージョンアップしました。
MPG1030
 MPG1030は、市場に初めてS字加減速パルスジェネレータLSIとして登場させた商品です。内蔵メモリへのデータ設定で、S字に限らず任意形状加減速を実現しました。原点サーチ機能やエンコーダカウンタを持ち、リミットセンサや減速等の割り込みを直接入力可能な高機能仕様は、多くのユーザに支持されました。1997年に内蔵メモリのアクセス回路を改良し、MPG1031となりました。
MPG2031
 MPG1030の2軸仕様パルスジェネレータLSIです。端子形状がQFPで、高機能パルスジェネレータとしてサイズのコンパクト化が図られました。
DMPシリーズ
 DMP(Digital Motion Processor:ディジタル・モーション・プロセッサー)シリーズは、1998年のDMP1040から始まります。
DMP1040
 S字加減速自動生成・オーバーライド(パルス生成中の速度変更)・連続動作の自動化等々の機能アップを盛り込むとともに、2個のエンコーダカウンタ・ビット長変更可能な汎用カウンタを備え、パルスジェネレータの域を脱しCPUに肩代わりしうるコンセプトで設計された。当時の最新テクノロジーで製造され、超小サイズのパッケージとして注目を浴びた。
DMP2041/DMP2042
 DMP2041は、DMP1040を2軸ワンチップ化したもの。2002年に細部をバージンアップし、DMP2042として量産中です。
 
ドライバ系LSI

 ドライバ系LSIは、5相ステッピングモータ用相分配LSIとして始まりました。1989年のMDD5020が始まりであり、ステッピングモータを動作させるドライバ回路の相励磁パターンを生成するLSIです。
 フル・ハーフステップ相分配出力のMDDシリーズ、マイクロステップ出力のMPDシリーズ、ナノドライブ出力のMIDシリーズとして発展しています。
 またドライバ回路に搭載しモータへの電流を制御するMICシリーズも、開発しました。
 左図は、ドライバ系LSI製品化の流れを示します。


MDD5020
 MDD5020は、5相ステッピングモータ相分配LSIである。フル(0.72角送り)/ハーフ(0.36角送り)ステップ駆動のための励磁パターンを出力する。

MDD2010
 MDD2010は、2相ステッピングモータ相分配LSIである。フル(1.8角送り)/ハーフ(0.9角送り)/クォータ(0.45角送り)ステップ駆動のための励磁パターンを出力する。

MPD5210
 MPD5210は、マイクロステップ駆動のための相分配LSIである。最大1/100分解能のステップ送りが可能で、5相と2相用の励磁パターンを切り替えて出力できる。
マイクロステップ分解能データを、外部にメモリとして持つ。
MID5102
 MID5102は、マイコムが世界で初めて開発したナノドライブ制御を盛り込んだLSIです。5相ステッピングモータを制御し、最大1/1000分解能を実現しました。ナノドライブとは、フルステップ進み角を均等に分割することをコンセプトした技術です。またナノドライブ相励磁出力と従来からのフルステップ励磁出力を組み合わせることで、マイクロステップ駆動で言われるトルク低下を回避しました。
MID2102
 MID2102は、2相ステッピングモータ用のナノドライブ相分配LSIです。最大分解能は1/1000で、フルステップ進み角に対する均等性を、より高めました。
NCC-101
 MID2102と同じ2相ステッピングモータ用のナノドライブ相分配LSIです。異なる点は、ナノドライブ送りデータをチップ内部に持つ点です。これにより外部メモリを不要としました。MIDシリーズの簡易版と位置づけられます。
MIC0001
 MIC0001は、ステッピングモータ用ドライバに搭載し、電流制御を行うLSIとして開発しました。モータの回転速度を観測し、最適な電流値になるよう自動制御すます。むだな電力消費を抑えると共に、意図的に電流値を上げトルクを確保することもでき、電流制御が自由自在に行えます。